蝉が鳴く
先日。とても暑かった日。
シフトを終えて南青山のオフィスを出て骨董通りを青山通りまでブラブラ歩く。オフィスの中はエアコンを29度に設定していて扇風機を使っていたので冷えているというほどではなかった。でも、外にでたら暑かった。
いや、気温はさして問題ではないのだと思う。毎日40度以上になるところにひとつきほど暮らしたことがあるけれど、湿度がないので日陰に入れば涼しかった。プールに入りでてくると気化熱で凍死をするかと思うほどだった。
問題は湿度なんだ。と、心の中でつぶやいて顔をしかめてみる。あちらこちらから反射されてくる熱と室外機から噴出す熱風。Tシャツの生地があっという間に湿り気を帯びて肌に張り付いてくる不快感。耳の後ろから汗が流れていく感触が気持ち悪い。
うんざりしながら歩いていると蝉の声が聞こえてきた。見ると、骨董通りのどんつきに近いところに4本の街路樹が生えている。そこに蝉がいるらしい。いったいどこで7年間を過ごしてきたんだろう。どこかのビルの地下室にそっと間借りでもしていたんだろうか。
蝉の声が聞こえてきたらこの暑さも夏だからと許容できそうになっているのは単純だけどいいことかもしれない。