小人閑居

世の中に貢献もせず害もなさず、常に出力50%。

秋雨の

f:id:einohire:20191031204726j:plain ”仕事”で北米に行った。

Kも一緒の仕事。

前から一度したかったことで、今回、あちらに無理を言い、こちらをなだめすかし、頭を絞り、慣れないアプリに文句をたれながら、何とか実現できた。

でも、これも、おかめがいなくなったからだな。

 

仕事はそれなりにうまくいった。でも、道具としての英語がさび付いていて仕事場の床の上をゴロゴロ転がりまわりたいくらいに恥ずかしかった。理解をすることと表現をすることは同じ英語という道具を使っていても違うとは知っていたが、これほどまでに片方がさび付いてしまうとは、ショックだった。また、がんばろ。

秋雨が降る中、美術館のレストランで北極鱒のグリルとフムスを食べた。Kと窓の外を眺めていると、雨と一緒に金色の街路樹の葉っぱが落ちていく。フムスについてきたマルチシードのクラッカーが思いのほかおいしくて、アメリカに来て一番おいしかったものがステーキでもピザでもBBQリブでもなく、このクラッカーだとは、とおかしかった。

さびた高架の上を走る電車も町を歩く人たちも空の大きさも、なにもかも異国。秋雨の中でKの手を握って異国でも一人じゃないことがうれしい。

 

喧嘩もしたんだけどな。

 

 

夏休み

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 遅めの夏休みを取った。

Kと二人、ゆっくりと温泉の町で過ごす5日間。おいしいフレンチを食べて。ワインを飲んで。温泉に何度も何度も入って。温泉はかけ流し。温度は38~9度になるように調整した。

まあ、そんなことだけではなく、着いたらすぐにいろいろ洗濯もしたけど。屋上からは開けた海の景色が見えて、太陽が燦燦と降り注いで、そんな屋上でシーツやら浴衣やらが翻り、ものすごく暑いけど、すごくすごくわかりやすく夏休み。

美術館にも出かけた。高く昇っていく美術館に行くと風が涼しくて、創始者の考え通りに黄塵から離れた美しい別世界に行く感じ。この美術館は友人たちと来たことがあり、その時にみた絵巻物がとても面白くてKにも見てもらいたいと思っていた。そうしたら偶然にもその絵巻物が再度展示されていた。しかも前回は途中までだったのが、今回は全巻展示されていた。

二人でじっくりと絵巻物を読んで、細かく描き込まれた着物の柄や、いま彩色されたような新鮮な色、そして物語を楽しんだ。でも、12巻一気読みは疲れた。いやはや。

それから、新しくできた温泉施設にも行った。天空の露天風呂は楽しかった。お湯の温度がぬるめで塩水温泉なので、のぼせないしふやけない。夕暮れ時に行き、ゆっくりと空が暗くなっていき、灯台に光が点り、町に明かりが灯り始め。深くてたっぷり入っているお湯を足で蹴ったり、ゆらゆら浮かんでみたり。ほとんど無言で二人でじっと温泉に一時間ほど浸かっていた。

いつもの二人と比べると、美術館や温泉施設に出かけたのでかなり活動的な夏休みでした。いろいろおいしいものを食べたけど、美術館のレストランで食べたポークハムの半熟卵入りテリーヌがおいしかった。フレンチの前菜のカニとホタテのキッシュはカニとホタテがぎっしり、ロゼワインは美しい淡い紅梅色、デザートはヨーグルトのソルベとパッションフルーツのソースの酸味のマリアージュ

贅沢でのんびりしたいい夏休みでした。

夏ねぎ

Kが出勤するときに一緒に家を出てとなりの野菜の直販所に行ってみた。トマトを買って、夏ねぎがあったので買った。今夜は夏ねぎのオリーブオイルとアンチョビのグリルだな。

夏ねぎは葉っぱの先まで深い緑。白い部分はグリルにするけれど、この緑の部分はどうしよう…と考えて、久しぶりにバーソーをつくることにした。檀一雄の檀流クッキングで読んだ一品。ネギと豚肉の肉みそ。

オリジナルのレシピだとねぎをあめ色になるまでいためるんだけど、今日は夏ねぎの青い葉の部分を使用するので、ねぎは最後に入れてシャキッとした歯触りを残す。オリジナルだと醤油をたっぷり入れてしっかりと煮込むのですが、ねぎの歯触りを残したいので赤みそと白みそで味付け。初めに豚肉のひき肉とニンニクとショウガを鍋に入れてふたして火を入れて、火があらかた通ったら日本酒たっぷりと昆布を入れてちょっと混ぜてまたふたをして。あらかた水分が飛んだら、昆布取り出してネギ入れて、炒めて味噌そのほかで味付け。

うん、これはオリジナルとはかなり違う料理だけど、ethosは同じだから、バーソ―とひとくくりしていいのだ。夏ねぎバーソ―。

赤みそがいい仕事して、ねぎのシャキシャキした歯触りと相まって、すごくおいしい。Kが帰ってきたら熱々の玄米ご飯にのっけて食べさせてやろう。

檀一雄の青春放浪がとても好きで、放浪をしていた檀一雄が食べたであろう料理が紹介されていた檀流クッキングもすごく好きだった。2冊とも引っ越しの隙間に紛れ込んでしまってどこに行ったことやら。どこかのソファーのクッションの隙間にでも潜り込んでいるんだろう。

今日は、あとは、茄子の利休煮、ピーマンのグリル、トマトや夏野菜のチョップドサラダ、豚肉だけ煮込み、なんかを作ろうかな。あ、キノコもグリルしよう。人生なにがあっても、どこに行っても、自分が食べたいものを料理できて包丁を研ぐことができれば、そうそう悪いものにはならないと思う。

箸を直す

箸が折れてしまった。

10年以上使い続けている黒檀の箸。先がとても細くなっていて、無垢仕上げの黒檀の箸は使えば使うほど手になじんだ。黒檀だからこそできる先の細さもとても良かった。特に魚の骨をきれいにとれるので、本当に気に入っていた。

一度、先が折れてしまったときは、先を削りなおして修理をした。無垢仕上げだから削りなおしたりも自分でできる。

が、今回は、黒檀の繊維に沿って複数個所にひびが入ってしまった。そりゃあ、10年以上、毎日毎日使われていれば、黒檀といえどくたびれて割れたくなるだろうと思う。

Kも、そろそろ新しい箸を買ってもいいんじゃない、というので、同じ黒檀の無垢仕上げの箸を買おうと思ったけれど、現在は品切れ状態。仕方がないので別の箸を使ったけれど、食事がおいしくないことこの上ない。いや、そりゃ、100均で買った箸を黒檀の箸と比べることがそもそも無理なわけだけど。

なので、箸を直すことにした。

レジンを筆でぺたぺたとひびが入った個所に塗り込んで、さらにちょっと盛り上げるまで塗っていく。レジンがしっかりと硬化したら、いろんな刃物を研ぐのに使っている3Mのダイヤモンド砥石で5角形に研いでいく。書いちゃうと3行だけど、硬化の過程で結構時間がかかっている。

先っぽをちょっと落とさなければいけなかったので少し短くなってしまったけど、無事に修理ができた。今日の昼は穴子のひつまぶしを作って食べよう。楽しみ。もちろん、最後はモカエクスプレスでとった出汁をかけてお茶漬けにする。

ちなみに、Kからは「ちゃんと歯科用レジン使わないとだめじゃん」と注意されました。まあ、量が少ないからいいかなって。この辺は自己責任。次回はちゃんと歯科用レジン使う。

出汁を取る

テレビを見ていたら、ラーメン屋で出汁を取るためにコーヒーサイフォンを使っている様子が紹介された。Kと二人で、あれいいなあ、という話になった。そうなったらさっそくアマゾン。

しかし、コーヒーサイフォンは割と大きい。アルコールランプが必要だから、台所に物が増えてしまうし。だからといって、電気の珈琲サイフォンは大きくて洗いにくそう…。ドリップ式のコーヒーメーカーを出汁取るのに使っている人たちもいた。しかし、コーヒーメーカーも大きいしねえ。

あれこれ考えて、ふと思いついた。

モカエクスプレスはどうだ。あれなら、それほど大きくなくて直火で使えるし、以前使っていたこともあるから使い方もわかっている。値段もそこまで高くない。アルミ製だから珈琲サイフォンみたいに割っちゃうってこともない。注ぐのも簡単。めんどくさいのは、濡れたままにしておけないところ。でも、タンクに昆布を入れて、フィルターバスケットに鰹節を入れれば、いい感じに出汁が取れるんでは。いや、絶対に取れる。コーヒーだってモカエクスプレスで作ったらおいしいじゃん。出汁だっておいしいに決まってる。

あとは、サイズが問題。9カップ用だと450ml、12カップだと780ml。二人分取れればいいから、450mlあれば十分かな。

 

というわけで、買っちゃいました。ビアレッティのモカエクスプレス9カップ用。ついでに鰹節も500g。鰹節の袋がわたしの枕より大きくてびっくり。

まずは数回出汁を抽出して、これは捨てます。コーヒーの時も同じようにするので。多分、鰹節の油が内側にしみついていっている、はず。そしていよいよ。タンクに昆布、フィルターバスケットに鰹節。直火に乗せて…。しばらくするとゴボゴボと音が聞こえてきて、火にかけてから8分くらいで抽出完了。ふたを開けると、黄金の出汁がコーヒーチェンバーに…!

めっちゃいい匂い。

さっそく、お酒と薄口しょうゆをちょっと足してすまし汁に。出汁の香りがすごい。少し味噌入れて味噌汁に。これも、おいしい。なにも入れずに飲んでもおいしい。味もおいしいんだけど、ふわっと口から鼻に抜けていく出汁の香りが、至福。

終了後、鰹節はいい感じに絞られていて、フィルターバスケットをポンポンっとすると簡単に鰹節が捨てられるのもよい。

これなら、インスタントラーメンを作るときにスープをとくお湯の代わりにしたり、味噌汁を適当に作りたいときに味噌をとくお湯として、いろいろと使えそう。

ビアレッティのモカエクスプレス。コーヒーメーカーとしてイタリアで生まれて、日本に送られて、そこで出汁エクスプレスとなりました。遠くに来たねえ。

 

ちなみに、わたしは現在はコーヒーは積極的に飲まないので、うちにコーヒー関連の機材はないんだな。

風物詩

晩春。初夏。どちらともいえないこの時期の風物詩と言えば、タケノコ事変である。

タケノコ事変。

それは、とれたての筍のあく抜きをする際に起きる事件。ちょっと目を離したすきに鍋の中の筍と糠とアクが結託して鍋からの逃亡を図り、ガスコンロがえらいことになってしまうこと。

今年はガスコンロにこびりついた糠をごしごしとはがす羽目になりたくないため、しっかりと見張って火力の調節を細心の注意を払って行っている。だからタケノコ事変はまだ不発のまま。

今日は仕事が思いがけなく暇になってしまったので、午前中にすべてを済ませて午後は有給をとった。ほら、新しい法律で有給の最低取得日数が決まったからね~。しかし、この制度はお役所仕事だよね。有休をいざというときのためにためておきたい事情の人だってたくさんいるでしょうに。有給取得率低いから取るの義務化するって、すげー役所仕事。それならば! 年に1度は10連休をとれるような制度にすればいいのに、ゴールデンウィークで10連休みたいなことしないで。ぶつぶつ。だいだい旗日が休みじゃない人も多いのに。わたしだってさ~。

閑話休題

というわけで、午前中で仕事を終えて、筍を買って帰ってあく抜きをしている雨の午後。

筍をガーリックとベーコンで焦げがつくくらい焼いてアスパラと炒め合わせるのもおいしい。ホワイトアスパラと筍の炊き合わせもおいしい。筍ご飯もおいしい。春野菜のえぐみがおいしい。さて、どんな風に筍を料理するか。

そういえば、おかめは筍が好きな猫だった。筍のたたき梅と鰹節であえたんでも作ってお供えしてやろう。

山形のだし

夢の中で、何かを一生懸命に刻んでいた。でも、包丁がリズムよく動かなくて指を切りそうになってしまう。「あぶない、あぶない」と誰かが後ろから言ってくる。できるはずと刻み続けるけれど、まったくうまくいかない。包丁を研がないと。包丁が切れないからうまく刻めない。 

目が覚めて、山形のだしを作ろうと思った。 

包丁を研いで、ショウガを刻む。研ぎたての刃がしゃくりとショウガの繊維を断っていく感触が気持ちいい。紫蘇を刻む。濃い緑の香りがする。みょうがを刻む。みょうがの断面が好き。こういうパターンの布で作ったシャツが欲しい。それならリバティーのペーズリーでいいじゃない。きゅうりをスライスする。研ぎたての包丁で切ると断面が滑らかになるから包丁にスライスが貼りついてしまって、リズムよく切っていけない。スライサーを使ったほうがいいのかな。でも、刻む。全部みじん切り。 

山盛りのみじん切りの野菜とがごめ昆布を混ぜて混ぜて。 

お昼は麦飯炊いて、山形のだしをたっぷりかけて食べよう。