バカとはさみは使いよう
息子が泊まりに来ているとき、朝のシャワーのあとに髪の毛を乾かしてくれといわれる。
息子が父親の家に忘れものをしたためそちらに学校に行く前に寄らなければいけなくなった。そのためにいつもより30分早く出かけなければならず、今朝は6時半に起きる羽目になった。眠い目をこすりながら息子の弁当のサンドイッチを作っていると、シャワーのあとで髪を乾かしてくれと例によっていってきた。
おめーの弁当作ってんだよ。自分でやれ、ぼけぇ。
というのをオブラートに包んで息子に言い渡した。
サンドイッチを適当に作って紅茶を台所で飲んでいると、息子が台所にやってきた。髪の毛はきれいにブローされている。
「お、自分でも上手にできてんじゃん。すごいねー」
と褒めてやると、
「そうだけどさー。頭の後ろをするのが大変なんだよ」
と、正面を向いたままで両手を後ろに回して見せる。
「手が短いからさ、ちゃんと後ろに回らないんだよね」
…こいつ、本気か?と思いつつ、言ってみた。
「横向けばいいんじゃないの?」
うぉぉぉぉ〜と声を上げて感動している息子を見ながら、遺伝子というものの不思議に思いを馳せざるをえない。
…こいつ、ほんまにわたしの子やろか? ああ、そういえば確かに思い当たる節があるわ〜…。