ありがとう
今月末にある締め切りや単位審査等々の準備が必要で、でも自分でできるのは限界があったけど、いつものようにKが助けてくれた。
本当に優秀。本当に優しい。指導者として素晴らしい。
前にKの知人に会った時に、彼女がKのことを「本当に優しい優しい人」と出会った時のエピソードを教えてくれたことを思い出して、エディター見ながら涙が出てきた。
本当に本当にKは優しい人だ。そしてとてつもなく優秀。こんな人、いるんだなあ。コーンフラワー・ブルー・サファイヤみたいな人。それに比べてわたしは…とは言うまい。そういうKが選んでくれたのだから、自分から見えないところにわたしなりの宝石があるのだろう。
願わくば、その宝石がピンクダイヤで10カラット以上あって80億円以上で取引され…いやいや。
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前回、温泉の部屋に行ったときは台風だった。
一足先に行っていたわたしは問題なく到着できたが、Kは東京駅で新幹線が止まり、もしかしたら来れないかも、と思った。が、問題なく在来線でやってきた。台風の激しい雨の音を聞きながら3日間、布団をたたみもしないでごろごろと転がって過ごした。
洗濯もせずに帰り、台風で集めた湿気も心配だったのでもう一度行くことにした。Kの提案で、洗濯のみして、そのあとはホテルに泊まることにした。
洗濯をして、カーペットを虫干しして。部屋の中に風を通して。虫よけスプレーしたり、掃除機かけたり。
その後、ホテルに移動。スパ付きプランだったので、まずはスパに。立湯の露天風呂は温度も低めでゆったりつかると夕日の色を映したお湯とその向こうの相模湾がつながって、可視光線が緩やかに夕暮れの空気で分解されたグラデーションが揺れる。海も空もお風呂も、混然一体。その揺れをぼんやりと二人で眺めていたら、いつの間にか1時間半近くたっていた。
わたしは整体の予約があったのでお風呂から上がった。Kは岩盤浴を楽しんでいた様子。
そのあと、もう一度立湯の露天に行った。すっかり日が落ちていて熱海の夜景が見えてきれいだけど、あの不思議な一体感はすでになし。
それから、別の温泉に行き、やや熱めのお湯を楽しんだ。
部屋に戻って、バルコニーから夜景と島々の灯台の光を見ながらゆっくりとワインを飲む。伊豆産の赤ワインは軽いボディーでなかなかおいしい。
海の上だからか、ものすごい数の星が見えていた。
バルコニーの椅子のクッションを取ってバルコニーに寝っ転がって夜風と赤ワインを楽しむ。波の音。星。灯台。
朝はカーテンを開けると真っ青な海と空。
こういう休日もいいねと言いつつ帰ってきた。
が、実はホテルの売店が20時にしまったため、お酒が買えず。近くにコンビニもなく、泣く泣くルームサービスで倍以上のお金をワインに支払った(それでも飲まない選択肢はない!)。この町の夜は早い、ということをすっかり忘れてました。
烏の気持ちがよくわかる
急にキラキラが好きになった。キラキラが付いた靴が欲しくてほしくて仕方がない。
大きくてキラキラしているビーズみたいなあれは、ビジューというらしい。
そのビジューが付いた靴が欲しい。キラキラの足元にしたい。…という欲求が7月くらいからずっとある。一足、ビジューの付いたミュールを買った。ちょっとゴミ出しに行くときなどに履くと足元のキラキラがすごくうれしい。どうしちゃったんだ、わたし。
ビジューが付いた厚底サンダルも欲しいものがあったけど、高いからネットショップのページを見るだけで我慢をしていた。が、昨日も見ていたら30%OFFになっていた。即買。
今朝届いて、早速家の中で履いてみた。底厚なので履くと視野がいつもと違う。しかも足元がキラキラ。うれしくって家の中を歩き回った。
今日は昼食をKの両親と外食をすることになっていたのでビジュー厚底サンダルをはいでお出かけ。キラキラでウキウキ。Kにはその気持ちがわからないらしい。まあ、そうだよね。つい半年前のわたしも今のわたしの気持ちはわからんだろう。
とにもかくにも。烏の気持ちがよくわかる。キラキラは集めて楽しい、見て楽しい。
夏の旬
天気予報を見て、今週末に梅の土用干しをすることにした。
きれいに赤紫蘇の色が移って、梅の匂いと紫蘇の匂いが日差しの中に立ち上る。赤紫蘇は絞って広げる。梅は指でそっとつまむと皮が薄くやわらかい。今年は上手く漬けられている。指先が紫蘇で赤く染まる。干し終えてからちょっとなめてみると酸っぱい。まだ熟成していない梅干しの味。干したてを1つ食べてみる。酸っぱくてしょっぱくて、梅のフルーティーな香り。
紅ショウガ用に塩漬けをしていた新ショウガも一緒に干す。
それから、近所の無人直販で買ってきた朝もぎのトウモロコシを塩ゆで。ゆであがったら、かに道楽のホジホジでトウモロコシを最初の一列きれいに取り、残りは指で外しながら食べる。もくもくと会話もなく食べる。
ヤングコーンは皮もひげも一緒にバターでソテーしてからグリルで焼いて、仕上げに醤油を絡める。
まだまだあるヤングコーン。ひげを切り落として細かく切ってひき肉ともち米と混ぜてロールキャベツのタネに。茹でてひげと姫皮ごとナムルに。ひげと姫皮ごと煮びたしに。Kがひげがおいしいと笑う。ビールも飲む。
なんてしていたら、ロールキャベツが1つほどけちゃって、がっくりときている。
正しい道具
Kが頑張って頑張って、タケノコを掘る権利を手に入れた(ということにしておこう)。
そしてタケノコを掘りに行った。
道具がいる、ということで行く途中でホームセンターによった。タケノコを「掘る」んだから、と我々はシャベルを買うつもりでいた。大きすぎるものを買ってもしまうところに困るし、やや小さめのシャベルを買おうかと検討していた。前回は折りたたみできるシャベルにして折れてしまったので、今回は折りたたみではないものを選びたい。店員さんに聞いてみた。そうすると、
「タケノコを掘るなら、クワですね。僕も掘ったことはないんですが、クワがいいですよ。これなんか、タケノコにいいって書いてありますし」
と。
そこで、小さめのクワを買った。なんとなく、違う道具もあればいいんじゃないか多様性、と思い、同じくらいの大きさの先が三つに分かれているものも買った。
結果、クワ、優秀でした。今までの苦労は何だったんだろうと思うくらい掘りやすい。掘るんだからシャベルだろうというわたしの硬直しきった発想よ。前頭葉の機能低下が著しい…。そして、違う道具もあったほうがいいのではという無駄。タケノコの周りを耕してどうするんだ。まったく。めっちゃ耕せたけどな、三又のあの子。
正しい道具があれば、正しい作業が行える。この当たり前のことを当たり前に行うことの難しさよ。
タケノコのあく抜きは、以前に買った大きい寸胴鍋で行いました。吹きこぼれもせず、ゆで上げました。
明日はたけのこご飯。
初・初島
初島に行くことになった。Kが初島から熱海の花火が見たいと前から言っていて、それが実現しました。
歩いていると大きな船が見えてきました。
にっぽん丸。名古屋から熱海の花火を見るクルーズの途中らしい。
わたしたちが乗るのはこちらのイルドバカンス3世号。小笠原のほうに台風が来ているため、午前中の船は条件付きでの出航となっていました。港に入れなかったら引き返す、と。わたしたちが乗る午後には条件付きは外されていました。でも、島に渡るということは、陸続きの移動にはないリスクがあるんだなあ、と改めて感じました。
部屋に入ると眼下が海。波の音しか聞こえない。伊豆大島、利島、新島、目を凝らすと神津島も見えていました。
庭園を散歩すると富士山も。
左に小室山、右に大室山が見えていた。大室山はイワナガヒメで、富士山のコノハナサクヤヒメの姉。小室山はどうも親族関係にはない様子。
午後3時にいったん出航していたにっぽん丸が花火に合わせて戻ってきました。大型客船って実は見ごたえがあります。
不夜城熱海。
行きの船で客室前方に特別船室があることに気が付きました。二人で帰りはあそこに乗ろうと決めました。ホテルの人に聞いてみると、乗るときに係の人にその旨伝えてお金を渡すとよいとか。
乗り込むどさくさに、係の人に「特別船室に乗りたい」といってお札を手渡しました。その様子はいけない取引をする人にしか見えなかったとKに言われてしまったり。
特別船室には我々2人だけだったので、楽しくイチャイチャしながらかえって来ました。
久しぶりに活動的な週末を過ごしました。
空也上人
夜遅くにEテレにしたら、空也上人のベーカリーの歌が流れてきた。
「空也上人、いいよね」
「口から仏」
というわけで、酔っ払いの無駄な行動力を発揮して、検索をしたらまさに今、東京国立博物館で空也上人を見せている。予約券は9日の午後の分がある。ぽちっとした。
朝に、上野に行くならレカンに行こうとKが言うので予約をした。
ワインを1グラスずつ。前菜のアスパラとホタルイカは、わたしはホタルイカ抜きにしてもらった。そうしたらアスパラが1本多くなっていてすごくうれしかった。エイヒレの焦がしバターがおいしかった。Kは子羊のロースト。絶妙な火通り加減でしっとり。
酔いを醒ましつつ上野公園の散り初めた桜を見ながら散歩した。日差しが強くて汗ばむけれど、日陰は気持ちいい。散り残った桜が時々風に乗ってくる。上野公園はそれほど混んでいなくて、木陰で家族がゆっくりと過ごしていたり、大道芸人がちらほらと芸を見せていたり。程よいざわめきが気持ちいい。
運慶作の地蔵尊座像を見て、Kはしきりに「運慶は上手い」と運慶をほめていた。そりゃ、うまいでしょうよ、国宝になっちゃうくらいなんだし。背面まで丁寧に彫り込まれていて、お尻の下にちょっとたまっている着物の生地の有様まで再現されていた。
平安時代に作られた四天王の衣文の流れの華麗なこと。所々でくるくると渦を巻きするすると流れていく。それで後ろから見ると、頭の周りの丸い飾りは背中に取り付け木具で固定されていることが分かった。清盛の像、薬師如来。
そして、空也上人。近くでまじまじと前から横から後ろから。口から飛び出る南無阿弥陀仏。
二人で展示を堪能した。出口から出たところがミュージアムショップになっていた。大人気だった空也上人のフィギュアは売り切れていたが、今日の朝から再販売をしている。当日の日付印が押されたチケットを提示しないと買えなくて、しかも1人1つまで。絶対にいらないし、簡単に捨てることもできない。でも、今日しか手に入れられないんだよ、1人1つ…限定…。でも、絶対にいらない。なんとか理性で押し切った。
称名リングは買っちゃったけどな。3つ買うと指にはめて空也上人ごっこができるということだが。「南無」の分だけ買った。南無南無。
そして、帰ってきて平家物語を見てる。