小人閑居

世の中に貢献もせず害もなさず、常に出力50%。

予行演習

防災セットに入れていた火がなくても食べ物を温められるものの使用期限が切れていた。Kがそれなら花見にそれを持って行って、熱燗付けたりしようと言った。そこで、食べ物を温めるものの予行演習を兼ねて花見に行った。

ネットで調べて、熱燗ならだいたい3分で温まるという情報を手に入れた。また一回開けると蒸気が逃げてしまうので追加では温められないらしい、など。

途中で、おいしい団子を買った。ずんだといそべと醤油と桜餅(道明寺)。コンビニによってホタテのバター焼きもつまみに買った。それから紙パックの鬼殺し。

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途中で白い桜を見つけた。

桜は満開をやや過ぎていて枝の下のほうは散り初めていた。でも、上のほうは満開。まさに盛り。食べ物を温められるものを準備し、熱燗とホタテのおつまみを温めた。使用期限は切れていたものの、30秒ほどでぷしゅと音がし始めて蒸気が立ち上ってきた。袋を閉じて3分待つ。そして、できた熱燗を手に桜を見る。屋上から見ているので、目の高さに桜が広がる。

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いつも花見に行くと、地面に座って見上げていて、それが首にきつかったなあ。まっすぐ前に桜が見れるって、なんて首にやさしいんだろう、と感慨深いお年頃。

また、食べ物を温めることができるものの使い方もわかった。温める長さごとに食べ物を振り分けておくと効率よくできそう。追加で温めることはできないけれど、追い水をすると再び熱を発する可能性があることもわかった。予行演習って大事だな。

年末年始

久しぶりに海辺の温泉の部屋でゆっくりと年末年始を過ごした。

一応、仕事もしようとPCも持って行ったのだが、結局、温泉の部屋に送った荷物がいつ届くのかを確認しただけだった。Kはデジタルデトックスだと笑っていた。

テレビを見たり、温泉に入ったり。町におりて買い物をしたり。解凍ものではあるものの、地物の生シラスを買ってきたり。町の和菓子屋さんで粟餅を買ったり。ストーブで熱燗付けたり。だらだらしたり、ごろごろしたり。

それで大晦日は二人でのんびりと海辺まで歩き、海岸沿いにゆっくりと歩いた。よく晴れているのに風花が舞っていた。どこから雪が来ているんだろうと不思議に思って沖に目をやると、千葉が宙に浮いていた。

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そして沖では雪が降っている。

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そんな景色を眺めながら、午前中から海辺のカフェのテラスで赤ワインとオニオンリングと生ハム。

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港を出入りする船を眺めて、遊覧船を追いかけて群れ飛ぶウミネコを眺めていると、時間はあっという間に経ってしまう。

お雑煮の具を買うためにスーパーに向かいつつ、温泉の部屋を買ったときにいろいろと買い揃えた生活倉庫の前を通りがかったらなくなっていた。…と思ったら、角を曲がったところに移転していた。しかも店舗が大きくなっていた。よかったね、とKと喜んで店の中をのぞいた。いろいろと見ているときに、Kがダウンロードしていたマトリックス三部作を見るためにHDMIケーブルが必要じゃん、と気が付いた。300円なり。

晦日の夜は早めに寝て、翌朝は早起きして屋上で初日の出を見た。

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そのあと、神社まで初詣に歩いた。おみくじは小吉、己の弱さに負けず勉学せよ、とのお告げ。そうね、それが大事。じたばたせずに、できることを一つずつやっていこう。

帰ってくる電車の中からは、富士山がきれいに見えて、いつもは見えない遠くの島まで見えた。そして、江ノ島灯台も見つけられた。見えることがそのものの存在を証明するわけではないけれど、見えるということはやはりうれしいことだと思う。なので、そろそろ老眼鏡の必要性も検討しつつ、眼鏡屋に行こう、と新春の決意はそこからかな。

 

本年もよろしくお願いいたします。

誰にとっても実りの多い一年となりますように。

 

 

 

さざえ堂

仕事で郡山に行くことになった。

Kの休みやわたしの休みがうまく調整できたので、前日から行くことにした。そして、Kが「さざえ堂に行こうよ」と。

さざえ堂には一緒に行ったことがある。何度も登ったり下りたりして、抜け道を抜けて頂上で出会ったり。うだるような8月のさざえ堂。

「冬に行ってもいいんじゃないかな」

きっといいね。

さざえ堂は今回で三回目だな。ふと考えて、違和感を覚えた。いや、2回? 絶対3回行ってるはず…しかし、Kと行ったあの夏と今回の間に、北方面に行ったのは草津くらいのはず。じゃあ、なんで3回って記憶があるんだろう。

簡単な話。Kと出会う前に一人で行ったからだ。仙台に仕事で行ったとき、仕事仲間がさざえ堂の話をしていて、わたしも行きたくなって行ったから。仙台からバスを乗り継いだ。

自分の中で、Kと会う前の時間がなかったことになりかけていた。Kがいなかった、そんな時期もあったのだ。なんと。

郡山から電車に乗って、雨と霧の中、会津若松まで行った。単線の電車はすれ違いのため、時々じっと霧の中にたたずみつつ、ゆっくり進む。電車の中はぽかぽかに暖房が効いている。Kは智恵子抄まで読んでいたけれど、安達太良山は見えず。

雨が降る中、さざえ堂へ向かう。観光客がいないのはきっと雨のせいだけではないだろう。「甘酒のみなんしょ。さざえ堂を見た後で」と参道のお土産屋さんのおかみさんの声にうなづきつつ、まずはスロープコンベア。初めに一人で来たときは屋根もないエレベーターだった。今はスロープコンベアになって屋根もある。雨の日でも大丈夫。「階段を上るとほんとうに本当に大変です」というアナウンスに頷きつつスロープコンベアに乗り込んだ。雨の中、濡れることもなく山を登れる楽しさよ。

そしてさざえ堂。雨の中、誰もいない。雨の中照明もなく暗い中を一緒に上って降りる。次は、わたしが抜け道を抜けて反対に行き、それぞれ登っていく。2重螺旋のもう一方、Kの足音だけが聞こえている。本当にKの足音なのかな。上っても登ってもKに会えない。上まで行くとKが待っていた。よかった、出会えた。

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さざえ堂から参道の土産物屋へ。甘酒を飲みながら、有線で流れてくる「愛というのじゃないけれど」、そして「あずさ二号」。ひたすら降る雨。帰り道でもやっぱり見えない安達太良山

 

そのあと、七日町の「結」で豆腐もちを食べました。おいしかった。

会津若松も郡山もいいところでした。馬刺し、桜鍋、伊達鶏、ぼんげばんげ、蔵粋。土産物屋でクナイ買えばよかったかな。

 

ゆっくりと噛む

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東京駅でふっかちゃんを見かけた。

ふっかちゃんが埼玉県のために働いているのに、わたしは有休をとってKと一緒に長めの週末。実に2年ぶりに温泉部屋に行った。

部屋の掃除はお願いしていたものの、やはり床がべたべたしていたり、いろいろな死骸やうんこやあれやこれや。夕方の歯医者をキャンセルして早めに出てきて、明るいうちに着いて良かった。座布団やら布団やら、洗えるものは洗い、乾燥機をかけ、虫干しして。掃除機をかけ、床をふき。風呂やトイレを掃除して、温泉を溜め。

そしておいしいものを食べる。おいしいお酒を飲む。

山から急な斜面を一気に雲が駆け下りてきて雨になった土曜日の昼、Kが食べたいといっていたカニのキッシュを出すお店に行ってみた。ランチコースを頼んで、ここでは必ずロゼのワインを頼む。前菜で出てきたカニのキッシュ。薄いパイ皮にぎっしりとカニが詰められている。ゆっくりと噛む。口の中でゆっくりとカニの身がほぐれ、海の香りが広がる。メインにKは鴨、わたしは金目鯛の焦がしバター。「罪」という文字がよぎるくらいの量のバターに金目鯛が泳いでいるけれど、レモンの香りと酸味で軽くてするすると食べられてしまう。最後の一滴までポテトに吸わせて食べる。

ゆっくりと噛む。

いつもは、まったく噛まずに食べていたんだな、とふと思う。ほとんど噛まずに、のどを通る大きさになったら力任せに飲み込んでいた。食べ物をしっかりと噛むことは、消化のためとかではなく、食べ物をしっかりと楽しめているということなんだな。奥歯に力を入れて噛む。顎の動きに合わせて舌が食べ物を丸め広げ味を感じる。ゆっくりと呼吸もする。味に香りが付く。飲み込む。そして、ロゼワイン

おいしくて、幸せ。

個人的なアクションを

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6月、わたしの職場でワクチンの先行接種を行っていた。その際、もし当日のキャンセルが出たら、ワクチンを無駄にしないために職員の同居家族を登録してほしい、とのお願いがあった。「婚姻関係」という法的関係になくともよいのか上司に確認すると、「同居」しているのであればよい、とのこと。

その際に上司から「キャンセルはいつあるかわからないし、その日の12時半にキャンセルが分かるから、13時までに連絡します。ワクチンの保管期限もあるので、その日の15:30までに来てもらわないといけないから、がっちり仕事をしている人は無理かもね」とも言われた。定職についてなくて昼間はぶらぶらと暇にしている人しか来れないよね、と。

そこでKを登録させてもらった。うん、問題はわたしのパートナーが定職についてないと思われることだな。定職についてますよ、わたしより稼いでますよ。ぶらぶら暇でもないですよ~。と、声を大にして言いたかったが、ふふ、とあいまいに笑いながら登録用紙を提出した。

その時は、残念ながらキャンセルが出なくてKはワクチンが打てなかった。

そして、今回。職員の同居家族に再度ワクチン接種が可能となった。

そのことをアナウンスする際に上司が

「同居家族にワクチン打てるようになりました。結婚してても、してなくても、パートナーでも、L…なんだっけ??忘れちゃった、ごめん、でも、いいから、ガンガン登録して」

と。ああ、LGBTQって言いたかったんだろうな~。

 

別にカミングアウトしたわけでもなんでもない。ただ、わたしの大切な同居しているパートナーを登録し、たまたまKの名前が女性であるとわかる名前だっただけだ。そのことについて上司からわたしに直接何らかの働きかけはなかった。でも、わたしのアクションを見て、とりあえず組織としてある方向性の動きを作ってくれた。

ずいぶん前に、カミングアウトは秘密の共有をする人が増えるだけだから、わたしはカミングアウトはしない、と書いた。その代わり、Openly gayであろうとしている。つまり、日常的に自分のパートナーが同性であることを隠さないようにしている。会話の中で「彼女は」などの代名詞が出ることで周囲にはなんとなくわかるだろうし。それに周囲がなんらかのアクションを起こせばそれはそれ、なければそれはそれ。性善説を信じていこう。

さて、わたしは今後も、Openly gayであるというとても個人的なアクションを続けていこうと思う。それがなにかに多様性をもたらす影響を与えることができるのであれば、うれしい。そして、根本的に社会学者であるわたしは、わたしの行動でカオスやリミナリティーがもたらされれば、幸せ(結構迷惑かけるやつ)。

 

Kは別ルートでワクチンが打てました。

コロナ禍の中でも、自分らしく幸せであれますように。

 

 

じたばたと

いや、忙しい…。

PCはできるだけ軽くてかつ性能がいいものを選んだけど、外付けのセカンドモニターが重い。機材を全部カンケンバッグに詰め込んでコンパクトにまとめているものの、重い。それをしょって炎天下の線路沿いを歩く。

そんな風にして元気に生きてます。

歯科衛生士さんに「暑いですね、アイス食べます?」と聞かれて、「いや、アイスはあまり…あ、でも、お酒は飲みますよ」とか答えちゃうくらい元気。