小人閑居

世の中に貢献もせず害もなさず、常に出力50%。

ゆっくりと噛む

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東京駅でふっかちゃんを見かけた。

ふっかちゃんが埼玉県のために働いているのに、わたしは有休をとってKと一緒に長めの週末。実に2年ぶりに温泉部屋に行った。

部屋の掃除はお願いしていたものの、やはり床がべたべたしていたり、いろいろな死骸やうんこやあれやこれや。夕方の歯医者をキャンセルして早めに出てきて、明るいうちに着いて良かった。座布団やら布団やら、洗えるものは洗い、乾燥機をかけ、虫干しして。掃除機をかけ、床をふき。風呂やトイレを掃除して、温泉を溜め。

そしておいしいものを食べる。おいしいお酒を飲む。

山から急な斜面を一気に雲が駆け下りてきて雨になった土曜日の昼、Kが食べたいといっていたカニのキッシュを出すお店に行ってみた。ランチコースを頼んで、ここでは必ずロゼのワインを頼む。前菜で出てきたカニのキッシュ。薄いパイ皮にぎっしりとカニが詰められている。ゆっくりと噛む。口の中でゆっくりとカニの身がほぐれ、海の香りが広がる。メインにKは鴨、わたしは金目鯛の焦がしバター。「罪」という文字がよぎるくらいの量のバターに金目鯛が泳いでいるけれど、レモンの香りと酸味で軽くてするすると食べられてしまう。最後の一滴までポテトに吸わせて食べる。

ゆっくりと噛む。

いつもは、まったく噛まずに食べていたんだな、とふと思う。ほとんど噛まずに、のどを通る大きさになったら力任せに飲み込んでいた。食べ物をしっかりと噛むことは、消化のためとかではなく、食べ物をしっかりと楽しめているということなんだな。奥歯に力を入れて噛む。顎の動きに合わせて舌が食べ物を丸め広げ味を感じる。ゆっくりと呼吸もする。味に香りが付く。飲み込む。そして、ロゼワイン

おいしくて、幸せ。