小人閑居

世の中に貢献もせず害もなさず、常に出力50%。

さざえ堂

仕事で郡山に行くことになった。

Kの休みやわたしの休みがうまく調整できたので、前日から行くことにした。そして、Kが「さざえ堂に行こうよ」と。

さざえ堂には一緒に行ったことがある。何度も登ったり下りたりして、抜け道を抜けて頂上で出会ったり。うだるような8月のさざえ堂。

「冬に行ってもいいんじゃないかな」

きっといいね。

さざえ堂は今回で三回目だな。ふと考えて、違和感を覚えた。いや、2回? 絶対3回行ってるはず…しかし、Kと行ったあの夏と今回の間に、北方面に行ったのは草津くらいのはず。じゃあ、なんで3回って記憶があるんだろう。

簡単な話。Kと出会う前に一人で行ったからだ。仙台に仕事で行ったとき、仕事仲間がさざえ堂の話をしていて、わたしも行きたくなって行ったから。仙台からバスを乗り継いだ。

自分の中で、Kと会う前の時間がなかったことになりかけていた。Kがいなかった、そんな時期もあったのだ。なんと。

郡山から電車に乗って、雨と霧の中、会津若松まで行った。単線の電車はすれ違いのため、時々じっと霧の中にたたずみつつ、ゆっくり進む。電車の中はぽかぽかに暖房が効いている。Kは智恵子抄まで読んでいたけれど、安達太良山は見えず。

雨が降る中、さざえ堂へ向かう。観光客がいないのはきっと雨のせいだけではないだろう。「甘酒のみなんしょ。さざえ堂を見た後で」と参道のお土産屋さんのおかみさんの声にうなづきつつ、まずはスロープコンベア。初めに一人で来たときは屋根もないエレベーターだった。今はスロープコンベアになって屋根もある。雨の日でも大丈夫。「階段を上るとほんとうに本当に大変です」というアナウンスに頷きつつスロープコンベアに乗り込んだ。雨の中、濡れることもなく山を登れる楽しさよ。

そしてさざえ堂。雨の中、誰もいない。雨の中照明もなく暗い中を一緒に上って降りる。次は、わたしが抜け道を抜けて反対に行き、それぞれ登っていく。2重螺旋のもう一方、Kの足音だけが聞こえている。本当にKの足音なのかな。上っても登ってもKに会えない。上まで行くとKが待っていた。よかった、出会えた。

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さざえ堂から参道の土産物屋へ。甘酒を飲みながら、有線で流れてくる「愛というのじゃないけれど」、そして「あずさ二号」。ひたすら降る雨。帰り道でもやっぱり見えない安達太良山

 

そのあと、七日町の「結」で豆腐もちを食べました。おいしかった。

会津若松も郡山もいいところでした。馬刺し、桜鍋、伊達鶏、ぼんげばんげ、蔵粋。土産物屋でクナイ買えばよかったかな。