小人閑居

世の中に貢献もせず害もなさず、常に出力50%。

薄明り

またしても猫の話。

だんだん眠る時間が長くなっていく猫。その様子を見ていると、死はいきなり来るのではなく、眠りの中から少しずつ近づいてきていて気が付くと隣に寄り添っているものなのかもしれないと思う。

眠って眠って、死が隣にいて。そうしているうちに、眠っているのか死んでいるのか曖昧になっていく。死んでいるのか眠っているのか、わずかな呼吸の中でわからなくなり、ふと目を覚ます。

夜中にこたつの中の薄明りで、猫が悩む。

起き上がり、人のところに行って小さく鳴く。そっと頭をすり寄せる。布団の中に抱きいれられて、ああ生きているんだ、寝ていただけなんだ、と、まだ生きていることに少し疲れを感じる。

そうしているうちに、鳴いても頭をすり寄せても気が付いてもらえない夜が来て、猫は死を悟るのかな。