猫は好きだが
わたしは猫が好きだ。犬も、とくにボーダーコリーのような牧羊犬はいいなあ、と思うけれど、やっぱり猫が好き。
しかし、猫であればどんな猫でも好きなわけではない。
たとえば、子猫のあざといまでの可愛さやそれを過剰なまでに演出している写真は好きじゃない。猫はふてくされていてこその可愛さであって、あんなふうに媚媚するのは猫じゃない(当社基準)。オカメだって一番可愛くなくてノンシャランな生意気な態度が気に入って24匹の子猫の中から選んだのだ。
日本猫や雑種は本当に可愛い。とくに黒猫は気が狂うくらいに可愛いと思う。クロちゃんは目つきの悪い黒猫だったが、愛嬌のある悪い顔は最高に魅力的だった。
長く飼っているせいだと思うけれど、シャムネコもいい。日本猫に比べると鼻がめちゃくちゃ長いのだが、その鼻の長さゆえの意地悪い感じの顔がたまらない。耳が大きくピンと立っている様子も猫のエッセンスが滲み出している。手足の先が少し大きくなっていてスプーン型と称される長い手足に長い尻尾。細くてしなやかな体からあふれ出す野生。まさにまさに猫の猫たる由縁が凝縮されているようだ。宇宙刑事ギャバンが猫成分を蒸着したらシャムネコになるだろう。
が、いわゆる血統書つきの猫の中で毛嫌いしているのもある。あんなふうに人工的に可愛さを演出したり猫の猫たる由縁を淘汰したのは可愛いお化けであって猫じゃない、と思うのがいくつかある。ああいったものにも猫という名称を与えるのはどうかと思う。
などといっているが。
最近、可愛いなあと思うようになった猫もいる。かのスフィンクス。エジプトのあれではなくて、無毛の猫。
はじめに見たときは、気持ち悪い、と思った。しかし、写真を見れば見るほど目つきの悪さといい皺のより具合といい…魅力的。自分で飼おうとは思わないけれど友人が飼っていたらすごく可愛いと思うだろう。きっと。
そういうわけなので、現在わたしが毛嫌いしている品種の猫についても将来的には可愛いと思うことがあるかもしれない。そういうときには素直に可愛いと思うようにしよう。
子どものころにピーマンが嫌いだったけど、あるとき突然好きになったみたいに。