小人閑居

世の中に貢献もせず害もなさず、常に出力50%。

和洋折衷

わたしにインテリアの趣味があるとすればそれは懐古趣味だと思う。古いマホガニーの階段箪笥に同じくマホガニーの鍵つき引き出し。樫材でできた昔のレジ(レシートが引き出しを開け閉めするたびにくるくると巻き取られてゆく)。遠いところで作られた木の枕、楽器、埴輪(もちろん偽物)。ゆり椅子、古いふるい椅子。中国のこうもり模様の箪笥。

こうもりは漢字で蝙蝠で、二文字目のつくりが福という漢字と同じなので中国では幸福を意味するものとして使われたシンボル、と中沢新一がどこかで書いていた。

でも、すべてにおいて中途半端なわたしは室内をそれで統一しているわけではない。IKEAの本棚などもある。生活は座卓で行っていて、夏の間は板の間に3畳分のみ畳を敷いている。

なんというか、そういう畳の上に洋風の古道具、みたいな感じが好きだ。たぶん、大原麗子が出ていたサントリーのCMの世界が子どものころに大好きだったことが原因なのかもしれない。内田善美の「草迷宮・草空間」のねこと草の棲む東京の片隅と思しき離れ。同じく内田善美の「空の色に似ている」の蒼生の住む重厚な日本家屋…。

そして、北欧のすっきりとした家具と古い木の引き出しという組み合わせも好きだ。

新しくてぴかぴかできれいなものよりも、ちょっと古くてぼろっちくて傷がたくさんついているものが好き。そういうものを丁寧にワックスで磨いてほんのりと光を反射する様子はとてもいい。

そんなことを考えていると、日本に帰ってくる直前まで住んでいたあの築250年の分厚い石の壁の家は本当に好きだった。あの家はわたしの一部だったしわたしはあの家の一部だった。今でもあの家のことをよく考える。願わくば、あの小さな谷に隠れるようにしてある村で、あの石の果実の家には東洋人の幽霊がすんでいる、よなよな壁をなでたり二階の部屋の床の上をごろごろ転げまわっている、という伝説が誕生してほしい。

そんなことを考えつつ、マホガニーの階段箪笥を愛でていたらオカメがその前に座っていました。猫と古道具っていうのもいい組み合わせ。

よく見ると尻尾が。



好きだったなー。とくに喧嘩をしたバージョン。