小人閑居

世の中に貢献もせず害もなさず、常に出力50%。

同性カップルのパートナーを死亡保険金受取人にする。

生命保険は自分が死んだあとに自分の大切な人が困らない為にかけるものだから、受取人は自分の大切な人にしたい。…と、思います。そういうわけで、Kがわたしのために大奮闘をしてくれました。今回の手続きに関してはKがすべて一人でして、わたしはたなぼたをもらった(?)だけなのですが。

Kいわく、こういうことは事例の積み重ねが大切で、一人ひとりが自分の権利を守る為に動くことで次の人が通りやすくなるので、「気が向いたら、是非」。


前提として、2010年の4月に保険法が改正をされたそうです。ずいぶん長く改正をされていなかったようです。この改正で、生命保険に関して

第3章 生命保険
第四十三条
 保険契約者は、保険事故が発生するまでは、保険金受取人の変更をすることができる。
2 保険金受取人の変更は、保険者に対する意思表示によってする。
3 前項の意思表示は、その通知が保険者に到達したときは、当該通知を発した時にさかのぼってその効力を生ずる。ただし、その到達前に行われた保険給付の効力を妨げない。

ということになっています。親族でなければならないなどの規定はありません。ただし、その保険に関して保険会社が特に規定をもうけている場合はそちらが優先するっぽいです(まあ、これも裁判で争えばどうなるかは分からないけど)。ただ、Kの生命保険に関しては受取人について二親等以内の親族などの規定はありませんでした。

なので、まずはファイナンシャルプランナーに問い合わせてもらい、だめ、という解答を得た後で、Kが直接保険会社に問い合わせました。保険会社は「養子縁組をしていればいいんですけどねー」と口を揃えていたそうです。そこで、Kのシャープな頭脳が理論武装を炸裂。

彼女の論理は以下の通り。

1)内縁関係にある人を受取人にしたことはあるのか。(たいていはあります。)

2)内縁関係とわれわれ同性カップルの状況の違いはなんなのか。(男女か同性かくらい。結婚していないのは同じ。ってか、われわれはイギリスでは結婚してる。)

3)保険法の改正で被保険者が保険受取人を変えることができ、保険の規約にも受取人の範囲などの制限がなく、明確な法的根拠はないように思うのだが、何でだめなのか。

ここまで言ってもだめといわれたら、生命保険協会に担当者の名前を含めて相談して無料調停を申し込むつもりだったそうです。

結果は、Kの申し出を棄却する法的根拠がないため、わたしに受取人が変更されました。

変更に関しては、特別な書類が必要ではない会社もあれば、わたしの職業を聞いてきたりした会社もあります。

わたしが今回、お!と思ったのは、一社は受取人の変更に当たって、わたしたちのCivil Partnershipの証明書のコピーとKの印鑑証明が必要になるといってきたことです。これって、イギリスにおける同性婚が日本においても内縁関係に近いものとして認められたってことなのかな?

Kの言うとおり、こういう権利の擁護ってひとつひとつの事例を積み重ねるしかないんですよね。そういう事例の一つを作ってしまったKを心から尊敬しています。いくつもの事例が重なって、同性カップルでも当然お互いを受取人にできる、ということが当たり前のときが早く来るといいな。そうして、こういう事例が積み重なっていくことで、日本でも同性婚が認められる日がいつか来ると思っています。

誤解を恐れずに言えば、パレードも大切かもしれないけど、自分の権利を守る為に事例を一つづつ作っていくことって本当に本当に大切なことだと思います。行政は同性婚を認めていないかもしれないけれど、そこを責めるだけじゃなくて、自分達に有利な法の規定を見つけてはそこからひとつひとつ事例を積み上げていけば、変わらざるをえないこともあるんじゃないかな…。わたしもKのために自分のためにアドボカシーをしていこう、と思います。



大変にご無沙汰をしています。勉強だ、仕事だ、といそがしくて不義理を働いています。受験生なので赦してください。