小人閑居

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同性カップルで任意後見人制度を利用する。3


任意後見人、及び死後事務委任契約ができました。



4月30日に正式に公証役場で契約書に署名し判子を押して契約が成立しました。

約束の時間に役場につきました。公証人のMさんが書類を全部机の上に並べて、これらが今日契約をする書類です、と説明してくださいます。日本の法律文書ってドスが効いてますね。文章の周りの飾りっぽいものもかわいさの演出ではなく(当たり前だ)、行数が書いてあるんですね。また、改行をしてある空白部分には線が引かれていて勝手に書き足したりできないようになっています。

署名捺印をする前にMさんが原本を読み上げるのでそれぞれ正本を見ながら内容を確認していきます。

いくつかの条文はお金を使ったときなどに記録を残す義務があるというものでした。それについて公証人の方からは何度か

「これは法務省に登記されて正式な契約になります。ただ、お互いの親族の方たちの権利を上書きするものではないので、経済的なことなどについてはしっかりと記録を残すなどするようにしてください。そのためにこれらの条文を入れてあります」

と説明を受けました。

ともかく。

法務省に登記をするための原本をそれぞれの任意後見人についてと死後事務委任契約についてなので4通。さらに、それぞれが自分の手元においておくための正本が自分の委任についてと相手に委任されている分で4通ずつ。合計12の契約書にそれぞれが公証人の前で署名捺印をしました。署名には先日修理をしたモンブランのブルーブラックインクで、と思っていたら、

「インクが薄れても困りますので、これでお願いします」

と、渡されたのは、中字油性マジック。黒々とどどどんと油性で署名をしました。そういえば、ドラマなどで遺言書なんかがちらっと映ると黒々と署名がしてあるのは筆で署名をしたのかと思っていたのですが、あれは油性マジックだったのか。

正本は原本と同じ効力を持っているので手元に置いておいてください、とのことでした。

費用の内訳です。

任意後見人契約
原本         11000円
超過枚数(8枚)    2000円
正本(11枚2通)    5500円
謄本(11枚1通)    2750円
-----------------------------
合計         21750円


死後事務委任契約
原本         11000円
超過枚数(2枚)     500円
正本(5枚2通)     2500円
-----------------------------
合計         14000円


手数料・送達に要する料金
登記の嘱託      1400円
登記手数料      4000円
-----------------------------
合計         5400円

というわけで、一人41150円。それと契約書の下書きを送っていただき、契約日をきめるなどの連絡をしたメール三通分の送達費用600円が加算されました(メール一通200円)。

二人で〆て82900円でした。

たぶん、行政書士司法書士などを入れていたら一通でこれ以上の費用がかかったんじゃないかな、と思います。はじめはちょっと不安だったのですが、案外自分達でできるじゃないか、という印象です。公証人の方も大変に親切だったし、特にほかに法律の専門家を入れないと不安ということはありませんでした。

任意後見人は自分が意識がなくなった状態や認知症になったときのためにあらかじめ自分がどうしたいのかを決めておけるいい制度だと思います。

また、法律的に同性同士である自分達の関係を婚姻として役所には届け出れない日本の制度の中で二人の関係を登記できる数少ない方法でもあると思います。養子縁組というのはわたしたちの場合はまったく考えませんでした。だって親子になりたいわけじゃないし。

これ以外に、保険金の受け取り人についてもKが大活躍をしてわたしがKの保険金の受取人になったのですが、それについてはまた後日にでも書きたいと思っています。

日本だって法治国家なんだから、法律や制度を利用すれば自分達の権利はきちんと守られるんだな、と思っています。知らなければ自分の権利を守ることもできないし、行政は積極的に助ける手を差し伸べてもくれない。自助努力が必要なのもわかるけれど、どうすれば知識が平等に社会の中で共有されるようになるのかな、とか、まあ、そんなことをぼんやりと考えています。