小人閑居

世の中に貢献もせず害もなさず、常に出力50%。

コラボレーション

仕事場から帰ってくるときに乗り換える駅の通路に托鉢の僧がいつも立っている。不動の姿勢で立ちながら鈴をチンと鳴らしている。比較的すいているときは通路に立っているのだが、ラッシュ時には通路から自転車置き場に降りてゆく階段へ一段下がって立って、人の流れを邪魔しないようにしていたりして、なかなか社会性のある托鉢の僧だったりする。

先日、あまりの忙しさに昼休みを取れずに仕事をしていたので、昼休みの1時間分早く帰ることにした。いつもより早く帰ると電車もすいている。早く帰ってお昼用にかってあったコロッケパンを食べよう、と考えながら乗り換えの駅に着いた。

乗り換えの駅の通路では珍しくストリートミュージシャンが演奏をしていた。ロックやポップではなく、クラシックギターホルスト木星のテーマ「我が祖国」を演奏していた。托鉢の僧はその日も托鉢に立っていた。

そして、僧の鳴らす鈴が大変に絶妙に木星のテーマの合いの手になっているのを聞きながら、人間の煩悩とか業とか、エスキモーは狩猟民族で合奏ができないけど農耕民族は合奏が上手とか、そんなことを思い出しながら歩いていた。