早春の森
森の木はまだまだ芽吹きには遠い。それでも枝の先が淡く紫色に染まってきていて芽吹きの準備が始まってるとわかる。森だけ見ているとまだまだ冬のたたずまいだけれど、森の地面には春が一足先にやってきている。
木が芽吹く前、地面にはたくさんの光が届く。その早春の光に誘われてたくさんの花が開く。
プリムローズ。園芸用の改良品種と違って野生のものは淡い黄色。
名もない黄色の花。つるりとした花弁が日光を反射して光る。
見れば見るほど繊細で葉っぱの形も茎の様子も優美。毎年春にイヌノフグリを見るたびに、栄華を極めたときのソロモンでさえこの一輪の花ほども着飾っていなかった、という言葉を思い出す。
そしてこんなに優美で繊細な花に、実の形が似ているから、というものすごいこじつけ理由で犬の金玉なんて名前をつけた日本人に親近感を抱いてしまう。それと同時に、なんとなく面白くない。だって。
ネコノフグリでもいいのにさ。