レトロの理由
シベリア鉄道の暖房は石炭ストーブだ。
…そういう話を聞いたのはどこでだっただろう。極寒のシベリアで電気が止まってしまったときに鉄道のみならず暖房まで止まってしまっては乗客乗務員全員が氷付けになる運命は避けられない。なので暖房だけは電気などに頼らないものを使うのだという。
その話を聞いて以来、なんでもかんでも最先端の簡単便利なものがいいわけじゃないんだなあと思うようになった。
確かに大雪が降ったり嵐が来たりして、いつ停電がくるかわからない真冬に
「ま、そうなっても薪ストーブがあるから大丈夫さ」
と思えるのはとても心強い。
そんなふうに、なにもかもが機能しなくなっても機能し続けるものを一つ生活の中に持っていることは大事なことなのだろう。