小人閑居

世の中に貢献もせず害もなさず、常に出力50%。

猫に小判かまたたびか

おかめは猫だという触れ込みでわたしのところにやってきた。猫ならばまたたびに官能を覚えるはずで、わたしは一度でいいからそういう猫の乱れた姿を見てみたいと思っている。

が、乾燥した枝やまたたびの実の干したものにはまったく反応しないおかめ。すごく高いまたたびを買えばいいのかもしれないけれど、それならば同じくらいの値段のまたたびの苗を買ったほうがいいのではないか。

というわけで、またたびの苗を買った。


「なんですか、これは」

またたびの木の前で転がるおかめ。期待ができそうな感じだ。


が、おかめが求めていたのは「腹こすりまくり」だった。

あ、おかめさん、それ、またたびなんだけど。


「またたび? なにそれ」

猫がね、その木のにおいを嗅ぐととっても気持ちよくなるんだって。ほら、Kとわたしがちょっとくさいお水を飲んでいい気になってるでしょ。あんな感じらしいんだけど。


「なんで好き好んでいい気になって馬鹿になってるところを見せないといけないわけ? あほちゃう」ぷい。

完全にまたたびを無視するおかめ。

そんなおかめが無視できないものがあんこ。


「ちょっとちょっと、Kよ。お前、なに食ってんだよ」


「ええもんくっとるやないけ。生意気やのう」


「こら、高級品やのう」


「ウマ〜〜〜」

最近のあんこ製品にはまたたびが入っているんでしょうか。それとも、おかめは実は猫ではないのでしょうか。

変なものが好きな猫や、変な癖がある猫を飼っていると、困ったふりをしながらも実はなんだかとってもうれしいものです。そういうわけでわたしもおかめのあんこ好きに関しては、かなり楽しんでいます。ふふふん、どう、かわいい猫飼ってるでしょ。わけもなく優越感に浸ってみたり。

が、一度でいいから、目の前で猫がまたたびにおぼれる姿を見てみたい。またたびの木を持って東京の街をさ迷い歩き「ハメルンの股旅」になっているおばさんがいたらそれはわたしです。