小人閑居

世の中に貢献もせず害もなさず、常に出力50%。

樹氷はまだ

12月初旬、仕事で山形に行った。

余裕をもって現地入りし、蔵王に行った。「樹氷はまだですよ」とチケット売り場の人に言われた。それは知っていたけれど、蔵王には以前から行きたかったので、行くのだ。

バスに揺られて、山形市の市街地を抜け、徐々に山を登りだす。

だいぶん登ったつもりだったけど、実はまだまだだった。

外は徐々に気温が下がってきており、ちらちらと雪が舞い始めていた。川から温泉の湯気が立ち上る中、ぶらぶらと蔵王山麓駅へ。

ロープウェイ乗り場はうっすら雪が積もっているくらい。人もほとんどいなくて、とても静か。ロープウェイに乗り、ゆっくりと蔵王を登っていく。

これは樹氷か、とKが聞く。樹氷ではない。

では、これが樹氷かとKが聞く。違う。

これが樹氷? まだ樹氷になりきっていない。

それでもよく見ると、風上に向けて海老のしっぽが育ち始めている。

地蔵山頂駅のレストランでラーメンを食べ、窓ガラスにも海老のしっぽが育っているのを見て、風の強さを感じた。

山形について、すごく寒いと思った。でも、蔵王の町はもっと寒かった。そして、樹氷山麓駅、地蔵山頂駅、とどんどん気温が下がり、風も強くなった。地蔵山頂駅ではお地蔵様にお参りができ、そのために長靴の貸し出しもしていた。しかし、ダウンコートを2枚重ねてきていたが、外に出ると北国をよくわかっていない人がどういう顛末を迎えるのかが鮮やかに想像できた。

地面を見ると、ミニ樹氷原ができていた。

樹氷はまだできていなかったけれど、見に行ってよかったなと思う。天気予報を見ては、今はどのくらいに育ったのかを毎日想像している。そして、これが2月にはどのくらいに育っているのかを考えると、わくわくする。