小人閑居

世の中に貢献もせず害もなさず、常に出力50%。

そんなの当たり前だと思っていても。

日本に帰ってきて3週間近く。旅行で一時帰国をしているのであれば気がつかないことでも、これからここで暮らすのだと思うといろいろと気になることが出てくる。

ただ、これは日本…というよりも自分がいま住んでいるこの地域の話なのかもしれない。たまたま外国から帰ってきているので、「あの国」対「日本」みたいな対立構造を考えてしまうんだろう。そういうところをよく意識して、つまらない日本批判ヨーロッパ礼賛(逆もしかりだが)に陥らないようにしなければ。

冷静な観察、公平な判断、そして一般論を作り上げないこと。

こんな風にして「異文化」を観察できるなんて滅多にある機会じゃない。それを楽しまなければ損だと思う。

…なんて自分に言い聞かせる感じでストレスをポジティブに転換していきますよ。



ここに住み初めて思うことは、人工的な音が煩い、ということ。車の音とかマンションのほかの住人の生活音などはそれほど煩いとは思わない。こういうものなのだろうと思う。

でも、心から「うるせー」と思うのは、トラックがバックするときにピーピーなる音とか、廃品回収業者のトラックが走りながら放送で流している音楽とか、市役所なんかの放送の音など。これで選挙になったりしたら宣伝車が走り回って一日中煩いんだろうな〜…とちょっと憂鬱な気持ち。

廃品回収業者のトラックが流す音楽が「かわいい魚屋さん」なので、魚屋さんが来たのかと思って喜んでいたら違った、という「裏切られた感」もあって余計に頭に来るのかもしれない。それから、ゴミ回収車の流す音楽が「五木の子守唄」なのには、ちょっと突っ込みどころが多すぎるのでは、と苦笑した。

町のあちこちには市役所のスピーカーが付いているらしく、放送があるのにもちょっと驚いた。夜に認知症のおじいさんがいなくなったので見つけた人は知らせて欲しいという放送があったときはこれはなかなかいいのではと思った。でも、毎日決まった時間に、「これから子供達が学校から帰ってくるので車の運転をする人は気をつけてください」とか、「子供はそろそろ家に帰りましょう」みたいな放送はいるんかいな…と思ってしまう。

先日、郵便局に出かけた時間がたまたま小学校の下校時間と重なっていて町中にPTAの役員らしき人たちが立っている。それで道を渡るのにもその人たちが渡っていいとかいけないとか言ってくる。なんだか監視されているみたいで嫌な気分になった。

しかし、最近、このあたりでは通り魔的な事件が多発しているとKに教えられた。Kの知人もこの近くでいきなり通りすがりの人に殴られたらしい。そういえば、駅まで行くときに人通りの少ない道を歩いていたら前を歩いている女の人の後を付けるみたいな感じになってしまったことがある。その時に、その女性はこちらを何度も振り返った挙句の果てに走って逃げていったのだけれど、あれはわたしを「不審者」と思ったに違いない…(かなり不本意ではあるけど)。

なるほど。いろいろな社会行動の背景にはそれなりの理由があるのだろう。表層に現れた現象だけ見て文句をいうのではなく、なぜそういうことがあるのかを考えたり情報を集めて知ることで新しい環境へのストレスは軽減されるんだろうな、と思う。

しかし、やはり廃品回収業者の「かわいい魚屋さん」とごみ回収車の「五木の子守唄」はいただけない。