アフリカの枕
かなり前にオークションで見てひとめぼれした木の枕を買った。アフリカ中部のもの…らしい。シンプルかつ実用的で使い込まれている。たくさんの夜を支えてきた木の枕。一つの丸太から切り出されてる造形が気に入っている。
それはかつてのオーナーもそうだったらしく、非常に大切にされてきたんだろうなあ、と考えていた。なぜなら、びっくりするほどたっぷりとビーワックスが塗られていたから。木製の骨董にはニスは塗らない。ビーワックスをしみこませて艶を保つ。ビーワックスを薄く何度も重ねて磨き上げていくとふるい木にしか出せない独特の艶が出る。歳月を経て磨かれほっそりとやせている木の肌が好きだ。
とか何とか言いながら、しばらく放ったらかしにしていた。
そしてある朝、Kが言った。
「アフリカだかどっかの枕、腐海を生んでるよ」
たっぷり塗られたビーワックスにカビが生えてました。
何事もほどほどがよし。